新しいPCを購入し、Windows 11の初期セットアップを進めている皆さんへ
誰もが考えるのが、「Microsoftアカウント（MSA）の登録をスキップして、ローカルアカウントでサッとPCが使えるようにしたい。」という時短テクニックでしょう。
しかし、ここで一つ、致命的な落とし穴が存在します。
もしあなたのPCに”プレインストール版のMicrosoft Office（法人・企業向けモデル）”が含まれているなら、MSAの回避は絶対に避けてください。
回避した場合、ライセンス認証ができずOfficeが使えない、なかなかつながらないメーカーサポートに連絡をしライセンス発行手続きを依頼するなどのトラブルに遭遇することになります。
※個人向けのMicrosoft Office製品（Microsoft 365など）は、Windowsセットアップとは別に、Office利用開始時にMSアカウントが必須となるため、この問題には該当しません。
この記事では、なぜWindows 11のセットアップ時にMSA回避がOffice認証を妨げるのかを解説し、あなたのOfficeを確実に使えるようにするための正しいセットアップ手順をお伝えします。
2025年7月に購入したPC（Windows 11 24H2搭載モデル）の初期セットアップを行いましたが、現在のところ、Microsoftアカウントを回避してローカルアカウントでのセットアップが可能です。 将来的にこの方法が使えなくなる可能性はありますが、少なくとも今回のセットアップでは問題なくロ...
法人版Officeの「プロダクトキー不要」認証の裏側
ご存知の通り、多くのプレインストール版Officeは、紙のプロダクトキーの入力が不要です。これは、Officeのライセンスが物理的なデバイス（PC本体）と、セットアップ時に入力されたMicrosoftアカウントに、電子的に「紐付け」されることで有効化されるからです。
【重要】Windows 11の初期セットアップが、この紐付けのトリガーです。
Windows 11のセットアップ中にMSAでサインインすると、システムはそのMSA情報をOfficeの認証プロセスに渡し、ライセンスを紐付けます。しかし、MSAを回避してローカルアカウントを作成してしまうと、Officeライセンスの紐付けに必要な「紐となるMSA情報」がPCに正しく登録されません。
その結果、Officeアプリを起動してもライセンスが見つからず、「プロダクトキーを入力してください」という画面が表示されてしまいます。キーは付属していないため、認証はそこでストップしてしまいます。
警告：MSA回避をしてしまった場合の対応策
ローカルアカウントで進めてしまったら？二つの対策
万が一、MSA回避を行い、ローカルアカウントでセットアップを完了させてしまった場合、残念ながらOfficeのライセンス情報が紐付いていないため、認証を正常に行う手立ては非常に限られています。
この状況を解決するためには、主に以下の二つの対策があります。
対策A：【最も確実で迅速】PCを初期化し、セットアップをやり直す
これが、Office認証の問題を最も確実かつ迅速に解決する方法です。
- データのバックアップ: 初期化を行うと、それまでに入力したデータや設定はすべて消去されます。必ず事前に重要なデータのバックアップを取ってください。
- 初期化の実行
・【重要】”Windows 11標準の「設定」からのリセット（回復機能）”を選ぶと、プレインストールされていたOfficeが復元されず、消えてしまう可能性があります。
・確実にOfficeを残して購入時の状態に戻すため、PCメーカーが提供している専用のリカバリー機能や工場出荷時状態へのリセット手順を必ず利用してください。手順が不明な場合は、メーカーのサポート情報を確認してください - 再セットアップ: Windows 11のセットアップを最初からやり直し、必ずMicrosoftアカウントでサインインして完了させてください。
対策B：ご購入元・メーカーサポートに連絡し、ライセンス再発行を依頼する
初期化が難しい、またはPCの知識に自信がない場合は、PCのご購入元またはメーカーのサポート窓口に問い合わせるという手段もあります。
注意点： サポート窓口では、Officeのライセンス再発行手続きが必要となることが多く、連絡がつきにくい、または手続きに時間を要するなど、手間と時間がかかる可能性があります。また、販売元やメーカーによっては対応できないケースもありますので、あらかじめご了承ください。
【セットアップ後】起動時のPIN/パスワードは不要に！ローカルアカウントへ安全に切り替える方法
1.「設定」を開く
タスクバーのスタートボタンをクリックし、「設定」（歯車アイコン）をクリックして開きます。
または、Windowsキー+「i」（アイ）キーを同時に押して開きます。
2. アカウント設定に移動する
左側のメニューから「アカウント」を選択します。
画面右側の「ユーザーの情報」をクリックします。
3. ローカルアカウントに切り替える
画面の真ん中あたりにある「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」という項目の下にある「ローカルアカウントでのサインインに切り替える」をクリックします。
（注：画像はローカルアカウントに変更していますが、上記手順でセットアップを完了した場合はMSAでサインインしている状態なので、ボタンの表示は「ローカルアカウントに切り替える」となります。）
「ローカルアカウントに切り替えますか？」という確認画面が表示されたら、「次へ」をクリックします。
4. 本人確認を行う
セキュリティ保護のため、現在サインインしているMicrosoftアカウントのパスワードを入力し、「OK」をクリックします。
PIN（暗証番号）を設定している場合は、PINを入力します。
5. 新しいローカルアカウント情報を設定する
ローカルアカウントの作成画面が表示されます。以下の情報を設定します。
ユーザー名： ローカルアカウントで使用したい任意の名前を入力します。
MSアカウントの文字の一部が表示されますので、わかりやすい名前に変更しましょう（英文字推奨）
新しいパスワード： サインイン時に使用するパスワードを設定します。
パスワードの確認： 設定したパスワードを再度入力します。
パスワードのヒント： パスワードを忘れた際の手がかりを入力します。
（パスワードが不要の場合は、名前を入力したらパスワード未入力のまま「次へ」で先に進みます。）
入力が完了したら、「次へ」をクリックします。
6. サインアウトして完了
「サインアウトと完了」という画面が表示されます。
「サインアウトと完了」をクリックすると、Windowsが一度サインアウトします。
再度サインインする際は、設定したローカルアカウントのパスワードを使用してサインインしてください。
これで、PCの操作はローカルアカウントで行えるようになります。
ただし、Microsoft StoreやOneDriveなどのMSAが必要なサービスを利用する際は、別途MSAでのサインインが求められます。
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